黒柳徹子さんからのメッセージ

黒柳徹子さんが「憩いの家」の活動を応援してくださっています

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これを、みなさまに、お読み頂けたら、うれしいと思います。私も、だいぶ前まで知らなかったんですけど、肉親がいなくて、施設で育ち、中学を卒業した子供達は、大半が、それから先、どこに行けばいいのか、というと、もう国では面倒を見てくれないんです。中学を出て、働く少年達をおく、それ以上の施設はないから、行くところがないんです。こんなことってあるでしょうか。中学を卒業した瞬間から、寝るところと食べるだけの収入を働くってことは、とても大変なことだと思います。風呂敷づつみ一つ持って、施設を出た、まだ幼い顔の男の子が、一人で、住みこみで働ける仕事場を探しているドキュメンタリーを見たとき、私は胸がいつまでも痛みました。

でも、そんな経験をした人たちが、皆と力を合わせて、素晴らしい家を作りました。それが「憩いの家」です。ここは、施設を出た子たちの家庭代わりの場でもあり、また同時に、就職その他の面倒を見てくれる家でもあります。私は、こういうことは「本当は政府のやることなのに!」と思いながらも、自分たちで、それをやっている方達を、本当にステキだ、と思っているのです。
ここに並べてある、番組で着た洋服など、もしみなさまに買って頂ければ、全部、憩いの家の収入になります。ぜひお買いあげ頂きたいんです。けど、同時に経済的には豊かでも、こういう福祉の点でまだまだ遅れている日本の現状を、知って頂けたらと思って、こんなでしゃばったことをいたしました。
ありがとうございました。いいお年を!

この文章は、1980年頃に黒柳さんから頂いたものです。黒柳徹子さんは、1972年10月、ご自分が司会のテレビ番組で、「憩いの家」を紹介して下さり、その後1978年から今日まで、30年以上にわたり、衣装、アクセサリー、本、CDなどを「憩いの家チャリティーバザー」のために、ご提供下さっています。黒柳さんをはじめ、この問題を社会に訴え続けてこられた先人たちの運動の甲斐あって、現在、養護施設の子どもたちの高校進学率は100%近くなり、以前に比べると児童福祉の制度は格段に手厚くなりました。しかし、高校を中退した子が施設を退所しなければならない現状は残っており、未だ十分とは言えません。また、近年では、養護施設出身者だけでなく、家庭で長い間「育児放棄」されていた子や、暴力や暴言を受け続けていた子の入居が増えています。